a)『武蔵野夫人』(溝口健二)★★★
b)『内なる傷痕』(フィリップ・ガレル)★★★★
で、朝6時まで起きていたので(昨日の日記参照)、寝不足のままB学校にタイトルを入れ直した素材をKくんに渡しに行き、HMVでカエターノ・ヴェローゾの新譜とかいろいろ試聴した後、小腹がすいたのではなまるうどんで腹ごしらえをしたら、満腹感のせいで溝口見ている間に睡魔に襲われ、あの停電のシーンとか見逃してしまい、いつの間にか田中絹代の臨終シーンになっていたのだった。まあ何度も見ているからいいんだけど。しかし最後に医師が「御臨終です」という瞬間、明らかに田中絹代はまだ動いているんだが、あれは何なんだろう(しかも彼女の死に顔のアップだけやたらと気合いが入ったショット)。その後、FWのメンバーと軽く打ち合わせを済ませてガレルを見に飯田橋へ。十年ほど昔、シネヴィヴァンで見た時はかなり寝た覚えがあるのだが、今回はギンギンに目が冴えてちっとも眠くならなかった(私も大人になったのでしょうか)。見ながらガレルとフォードの関係などに思いを馳せる。上映後のフィリップ・アズーリくん(ガレル講義の後、一緒に呑んだので「くん」づけ)の講演では、ガレルが60年代にテレビの仕事で撮ったTHE WHOのレコーディング風景やらミシェル・ポルナレフ(!)のミュージック・クリップといったお宝映像(マリアンヌ・フェイスフルのクリップもあるらしい。見たい!)の他、『処女の寝台』や本国でも見ることが困難な『天使のお通り』、『水晶の揺籃』のニコの映像(上半身裸でベットにもたれかかっているショットにはハッとした)を見ることができ、しかもアズーリくんの講演も大変素晴らしいものだったので、今日はガレルにしてよかったわと思った。それにしても今月から来月にかけての週末の東京では、溝口、ガレル、ストローブ=ユイレが同時に掛かっていて、そのいずれを見るか選択に困るのだが、それって何て贅沢な悩みだろうか。