よいお年を!

大晦日なので一年を振り返る。映画批評家としては、年末に出た『映画を撮った35の言葉たち』(フィルムアート社)に参加した。このうち私はルビッチ、マキノ、ストローブ=ユイレを担当した(しかしすごい組み合わせだ)。原稿依頼を受けたのがちょうど映画祭シーズンの真っ最中で、映画を見る合間を縫っての慌ただしい仕事だったが、我ながらなかなかの出来だったのではないかと思う(どうぞ手にとってご確認あれ)。また今年は大学時代からの友人である堀禎一を失ってしまった悲しい年でもあったが、未見の方たちへのイントロダクションになればとラジオ関西「シネマキネマ」の一回分の放送時間を丸々いただいて彼の作品について語らせてもらった(吉野Dに感謝)。去年、予告した批評集は、私の遅筆のせいで出せる見通しが一向につかない(笑)。私事では子供が生まれた。まさか自分が父親になる日が来るとは考えてもいなかったが、目下、育児と仕事と映画の時間配分をめぐって妻とせめぎ合う日々である。それでは皆さん、よいお年を。

 

映画を撮った35の言葉たち

映画を撮った35の言葉たち

  • 作者: 得地直美,伊藤洋司,三浦哲哉,荻野洋一,橋本一径,安井豊作,赤坂太輔,井上正昭,木原圭翔,葛生賢,隈元博樹,黒岩幹子,須藤健太郎,角井誠,長門洋平,南波克行,降矢聡,結城秀勇,渡辺進也,フィルムアート社
  • 出版社/メーカー: フィルムアート社
  • 発売日: 2017/12/25
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
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Happy New Year !

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あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。

それでは早速2016年のベストテンを。新作、旧作ともにスクリーンで見たものに限定。 

その前に特別賞を。

『Take Me Home』(アッバス・キアロスタミ

 昨年のオリヴェイラに引き続き、今年はリヴェット、さらにはキアロスタミまでが亡くなってしまった。本当に残念としか言いようがない。キアロスタミのこの最後の短編はゆったりとした時間の流れる中、観客の目と耳をひたすらスクリーンに釘付けにしつつ解放させる、ユーモアとサスペンスにあふれた、実に彼らしいとぼけた作品だった。

さて新作映画ベスト。先達に敬意を表し、生年順。

 『ハドソン川の奇跡』(クリント・イーストウッド

共産主義者たち』(ジャン=マリー・ストローブ

『皆さま、ごきげんよう』(オタール・イオセリアーニ

『教授のおかしな妄想殺人』(ウディ・アレン

『イレブン・ミニッツ』(イエジー・スコリモフスキ

『BFG ビッグ・フレンドリー・ジャイアント』(スティーブン・スピルバーグ

フランコフォニア ルーヴルの記憶』(アレクサンドル・ソクーロフ

『あなた自身とあなたのこと』(ホン・サンス

ヘイトフル・エイト』(クエンティン・タランティーノ

『トレジャー オトナタチの贈り物。』(コルネリュ・ポルンボユ)

次に旧作映画ベスト。製作年度順。

 『一番強い者』(アルフ・シェーベルイ、1929)

『夢を見ましょう』(サッシャ・ギトリ、1936)

『若い人』(豊田四郎、1937)

『ひよどり草紙』(加藤泰、1952)

『チャイナ・ゲイト』(サミュエル・フラー、1957)

『残酷ドラゴン 血斗竜門の宿』(キン・フー、1967)

『物質の演劇』(ジャン=クロード・ビエット、1977)

フランシスカ』(マノエル・ド・オリヴェイラ、1981)

『タイペイ・ストーリー』(エドワード・ヤン、1985)

『フィクション。』(モーリー・スリヤ、2008)

コントレ賞こと新人監督賞は『オリ・マキの人生で最も幸せな日』のユホ・クオスマネンに決定!

よいお年を!

大晦日なので一年を振り返る。今年は二月にシネ砦の公開座談会(https://youtu.be/A0UAjSfvVJ4)で話したくらいで、公には何もしていない(笑)。あとはまだ発表されてないけど、ヴェキアリに新田さんとインタビューしたくらい。その他は大好きなイオセリアーニの『そして光ありき』で字幕翻訳家としてデビュー!(笑)といったところ。もちろん大学講師やら映画祭の予備審査委員などの仕事は引き続きやっているけど。去年の大晦日に予告した批評集は最後の原稿を書くのに難儀しており、結局、出せず仕舞い。このため色々な人に迷惑をかけているのでなるべく早く書き上げたい。