2006年日本映画ベスト

a)『ラ・パロマ』(ダニエル・シュミット)◎
b)『エレクション』(ジョニー・トー)○

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映画芸術」の日本映画ベストテン特集号を立ち読みして、それがあまりにも自分の批評的判断とかけ離れていたことを興味深く感じた。どの位、違っていたかの参考に以下、私の2006年日本映画ベストテンを挙げる。これら以上に優れた作品がそうそうあるとは思えないので、これらを見逃したのでないとすれば、選者たちが挙げた他の作品(その多くを私が見ていない)はよほど凄いのだろう(もちろん厭味)。なお堀禎一の新作を残念ながら見逃したので10本ではなく9本にした。アイウエオ順。
エリ・エリ・レマ・サバクタニ』(青山真治
『AA―音楽批評家:間章』(青山真治
『西みがき』(井川耕一郎)
『かえるのうた』(いまおかしんじ
『ルック・オブ・ラブ』(植岡喜晴)
『LOFT』(黒沢清
殺しのはらわた』(篠崎誠)
『死なば諸共』(西山洋市
『ありがとう』(万田邦敏
次点『ヒカリ』(筒井武文)、『十善戒』(オムニバス)
なぜか映画美学校関係者の作品が大半を占めているが、これは偶然であるとともに必然である。なぜなら現代日本を代表する優れた映画作家の多くがこの教育機関で教えているのだから(これをセクト意識と誤解してはならない)。『LOFT』よりは『叫』(ともに傑作ではない)、『ありがとう』よりは『接吻』(ともに傑作である)の方が遥かに凄いが、これらは2007年扱いとする。『十善戒』はオムニバスゆえ玉石混淆だが、玉の美点が石の欠点を上回っているので次点に入れた*1。なお『こおろぎ』(青山真治)と『おじさん天国』(いまおかしんじ)は見逃した。
ワーストは『パビリオン山椒魚』(冨永昌敬)、『ビッグ・リバー』(舩橋淳)を始め*2、挙げようと思えばいくらでも挙げられるが、ワーストにすることで逆に妙な勲章を与えてしまいそうなので止めておく。これらは「失敗作」ですらなく、単なる「駄作」である。なお『ゆれる』(西川美和)は見逃した。

*1:なおこのうち『お城がみえる』(小出豊)については、「映画芸術」で井川耕一郎が詳しく論じている。

*2:なぜが二本ともオダギリジョー主演だが、私はこの俳優が好きなだけに残念である。この二本に限らず最近、皆、彼を安易に使い過ぎ。以前、テアトル新宿に行ったら三本連続で彼の主演作の予告編(もちろん全部違う作品)が流れたので呆気にとられた。