a)『早春』(ラインホルト・シュンツェル)★★★
b)『アメリカン・フォックストロット』『ハンガリアン・ダンス5番』『魔法使の弟子』『ハンガリアン・ダンス6番』『アイーダのバレエ音楽』『モーツァルトのメヌエット』『ルビンシュタインの光の踊り』(オスカー・フィッシンガー)★★★
c)『ドン・コザックの歌』『野營の歌』『アヴェ・マリア』『故郷の歌』(ヨハンネス・グーター)★
以前、デリダの息子のピエール・アルフェリが日仏で「フランス恐怖映画の系譜」という特集をプログラミングした時に『スピリチュアル・コンストラクション』(オスカー・フィッシンガー)が入っていて、それがあまりに素晴らしかったので(id:hj3s-kzu:20040530)、今回の上映もかなり期待大だったのだが、予想通りよかった。ただ今回の作品の方がより抽象度が高いので『スピリチュアル・コンストラクション』のようなもう少し具象性のあるものをNFCが今後も上映してくれることを願う。『魔法使の弟子』なんてディズニーの『ファンタジア』の同じシーンを超えているのではないかと思いながら見ていたのだが、上映後の西嶋憲生氏による講演で、そもそも『ファンタジア』はアメリカに亡命したフィッシンガーがディズニーに持ち込んだ企画だということを知り吃驚。製作過程でフィッシンガーの当初の意図とは大分違ったものになってしまったようだが、冒頭の「トッカータとフーガ」の場面などはフィッシンガーが手掛けているようだ。
で、フィッシンガーを堪能した後に「ドン・コザック合唱団」なる軍服を着たオッサンたちが教会や野営地のセットの中でひたすら合唱するだけの短編を四本立続けに見、これが強烈なインパクトなのだった。あまりにこちらの音楽的な趣味と合わなかったため、せめて面白ポイントを探そうと思い画面に集中すると、大男のオッサンたちを従えて指揮をとるセルゲイ・ヤーロフというアズナブールみたいな小男の滑稽な身振りや、若禿のソプラノの表情など結構面白く、後半笑いをこらえるのに必死だった。