2001年&2002年映画ベスト

昨日の日記で元旦に載せた「2003年ベスト」についてのコメントに対する回答を載せたが、ここで一度、自分のスタンスを明確にするために、過去のベストを掲載してみるのも面白かろう(キーワードのチェックにもなるし)。なお、これらはここ数年、知人宛に年賀メールとして暴力的に送りつけているものである。

[2001年ベスト]

A.I.』(スティーヴン・スピルバーグ
SELF AND OTHERS』(佐藤真)
ヴァンダの部屋』(ペドロ・コスタ
『乳母』(マルコ・ベロッキオ
『エデン』(アモス・ギタイ
クレーヴの奥方』(マノエル・ド・オリヴェイラ
『月の砂漠』(青山真治
ドメスティック・バイオレンス』(フレデリック・ワイズマン
トラフィック』(スティーブン・ソダーバーグ
『プラットホーム』(ジャ・ジャンクー
『フリーキー・ラブ』(ジャック・ドワイヨン
『ベレジーナ』(ダニエル・シュミット
『労働者たち、農民たち』(ストローブ=ユイレ
『ロベルト・スッコ』(セドリック・カーン
『白と黒の恋人たち』(フィリップ・ガレル

なお、『エスター・カーン めざめの時』(アルノー・デプレシャン)、『花様年華』(ウォン・カーウァイ)、『キプールの記憶』(アモス・ギタイ)、『おいしい生活』(ウディ・アレン)は前年に渡仏した際に見たので除外している。

[2002年ベスト]

UNLOVED』(万田邦敏
『YESMAN/NOMAN/MOREYESMAN』(松村浩行)
グレースと公爵』(エリック・ロメール
マイノリティ・リポート』(スティーヴン・スピルバーグ
『愛の世紀』(ジャン=リュック・ゴダール
『家路』(マノエル・ド・オリヴェイラ
『夜風の匂い』(フィリップ・ガレル
『恋ごころ』(ジャック・リヴェット
『労働者たち、農民たち』(ストローブ=ユイレ

ベスト10といいつつ9本しかないのは、イーストウッドの新作を見のがしてしてしまったため。ストローブ=ユイレは去年も入れたがまあ良し。逆にガレルは新作が二本も公開されてしまったので、去年入れたものを外した。これら世界の強豪の中で万田・松村両氏は健闘している。ゴダールは最初見たときには、むしろ『フォーエヴァー・モーツアルト』の方がいいと思えたが、DVDで見直したら後半も含めて肯定できたのでこちらを入れた。なおこのDVDはメイキングとゴダールの記者会見が30分ほど見れるおまけがついているのでオススメ。スピルバーグはナメてかかって見たのだが、実はかなりよい。というかここ数年の彼は一作ごとに進化しているのではないか。去年はかつてないヌーヴェルヴァーグ・イヤーとなった。これでジャック・ロジエの新作が見れたら完璧だったのに。さて惜しくも選にもれた作品としては、『ウインブルドンの段階』(マチュー・アマルリック)、『ガーゴイル』(クレール・ドゥニ)、『ゴースト・オブ・マーズ』(ジョン・カーペンター)、『コード・ネームはサシャ』(ティエリー・ジュス)、『ニューヨークの恋人』(ジェームズ・マンゴールド)、『ふたつの時、ふたりの時間』(ツァイ・ミンリャン)、『マルホランド・ドライブ』(デヴィッド・リンチ)、『愛しのローズマリー』(ファレリー兄弟)などがあるが、どれもよい。特に『ニューヨークの恋人』は二度見たが、二度とも泣いてしまった。近年のアメリカ映画でここまで古典的で上品な映画も珍しいのではないか。
(補足)ストローブ=ユイレが三年連続でベストに入っているのは、三年連続して見たからで、しかもこれをベストから蹴落とすほどの作品が今のところ存在しないからである。『YESMAN/NOMAN/MOREYESMAN』という作品は御存じない方のほうが多いだろうが、ブレヒトの同名戯曲の日本語訳のテクストを全て外国人に演じさせた(ただし主役の少年だけは日本人)作品で、一昨年の映画美学校映画祭で初上映され、京都国際学生映画祭2003では準グランプリを獲得している。また彼の前作『よろこび』もオーバーハウゼン国際短編映画祭で国際批評家賞を獲得している。ともに傑作。

(追記 2010/01/10)2001年ベストに関してはあえて10本にしぼってみた。