2004-01-01から1ヶ月間の記事一覧

蓮實重彦とことん日本映画を語る vol.7

本日は青山ブックセンター本店に「蓮實重彦とことん日本映画を語る vol.7」を聞きに行く。 蓮實重彦の批評を時代遅れとみなして乗り越えた気になっている論者がたまにいるが、それは大きな勘違いである。彼の開いたパースペクティヴを超えるものは現在の日本…

デュラスまつり

a)『セザレ』(マルグリット・デュラス) b)『陰画の手』(マルグリット・デュラス) c)『オーレリア・シュタイネル(メルボルン)』(マルグリット・デュラス) d)『オーレリア・シュタイネル(ヴァンクーヴァー)』(マルグリット・デュラス)a)〜d)これら…

ミスティック・リバー

a)『ミスティック・リバー』(クリント・イーストウッド)a) この作品については、蓮實重彦をはじめとする錚々たる論者によってすでに多くのことが語られていて、そのうちのいくつかには教えられることがあった(特にnobodyのサイトの角井誠氏の評は冴えてい…

緑色のカーテン/海を探す

a)『緑色のカーテン』(隅達明) b)『海を探す』(小嶋洋平)a)二本とも「1st Cut」より。でまずこの作品を見て。 才能があるのは分かった。あとは細かいところの演出の詰めの甘さをどう克服するかがこれからの課題だろう。例えば金髪の女の子が走るカットは…

恋/孤独な場所で

a)『恋』(ジョセフ・ロージー) b)『孤独な場所で』(ニコラス・レイ)a)本日は誕生日なり。一人寂しく新文芸坐へ(とほほ)。物語の中でジュリー・クリスティが少年に尋ねる。あなたの誕生日はいつ。少年は答える。「今月の27日です」。こういう偶然って楽…

如雨露/春雨ワンダフル

a)『如雨露』(吉井亜矢子) b)『春雨ワンダフル』(青山あゆみ)a)二作品ともに映画美学校の「FirstCut2003-4」の作品。知らない人のために一応書いておくと、例年、この時期になると映画美学校初等科修了作品が、渋谷ユーロスペースで上映される。で『如雨…

ゲッタウェイ/CoCoon騒動

a)『ゲッタウェイ』(サム・ペキンパー)a)『ザ・ファミリー』、『マジェスティック』にも出ていたアル・レッティエリが素晴らしい。マックイーンに撃たれて死んだと思いきや(といっても額に撃ってとどめを刺すのではなく、肩の辺りを狙っているので変な感…

ジャン=クロード・ビエットを見逃す

寝坊してしまい、「カイエ週間」の『サルティンバンク』(ジャン=クロード・ビエット)を見逃す。かなりショック。しかもTSUTAYAで借りた10本のビデオのうち、結局この一週間で見れたのはフライシャーの3本だけで、肩を落としつつ新宿まで返却に。無駄遣い…

『よろこび』新年会

『よろこび』(松村浩行)の旧スタッフの新年会(あと主演女優)。松村氏は今年の暮れに厳寒の北海道で新作を撮るそうな。

マンディンゴ

a)『マンディンゴ』(リチャード・フライシャー)a)「マンディンゴ」とは、純血の黒人奴隷(男性)を指す言葉らしい。このタイトルが予告するように、この映画の主題は「血」の問題である。すなわち、純血/混血、白人/黒人の間のあらゆる順列組合せがこの…

デブラ・ウィンガーを探して/アダプテーション

a)『デブラ・ウィンガーを探して』(ロザンナ・アークェット) b)『アダプテーション』(スパイク・ジョーンズ)a)ジル・ドゥルーズの『ベルクソンの哲学』によれば、「問題」には「真の問題」と「偽の問題」があって、前者は問いを立てることそのものが解を…

フライシャーまつり

a)『ザ・ファミリー』(リチャード・フライシャー) b)『マジェスティック』(リチャード・フライシャー)a)「デュラスまつり」をやるつもりだったが、TSUTAYAが100円セールをやっていたので、10本ほど借りてしまい、それを一週間以内に見なくてはならないの…

マリーとジュリアンの物語

a)『マリーとジュリアンの物語』(ジャック・リヴェット)a) ついにリヴェットも溝口、ヒッチコック、ドライヤーの域にまで到達したのだろうか。この作品は現代の『雨月物語』(溝口健二)であり、『めまい』(ヒッチコック)であり、『奇跡』(ドライヤー)…

ヴェネツィア時代の彼女の名前

a)『ヴェネツィア時代の彼女の名前』(マルグリット・デュラス)a)今日からしばらく「デュラスまつり」をやろうかと思う。その第一弾。この作品は十年以上前からずっと見たかった作品の一つで、以前、東京日仏学院でデュラス特集をやった際にこれだけ見逃し…

2001年&2002年映画ベスト

昨日の日記で元旦に載せた「2003年ベスト」についてのコメントに対する回答を載せたが、ここで一度、自分のスタンスを明確にするために、過去のベストを掲載してみるのも面白かろう(キーワードのチェックにもなるし)。なお、これらはここ数年、知人宛に年…

北野武と諏訪敦彦について私が考える二、三の事柄

id:chaturangaさんから何故、2003年のワーストに北野武と諏訪敦彦が入っているのかという質問があったので、以下はその回答です。まず北野武の『座頭市』について。基本的にバイク事故前の彼の作品群はどれもとても素晴らしいと思います。逆に事故後の作品群…

『AA』新年会

本日は未完の大作『AA』(青山真治)のスタッフ新年会。とても愉快であった。青山氏より拙作『吉野葛』への御批評をいただく。 『AA −音楽批評家・間章−』撮影日誌 http://boid.pobox.ne.jp/contents/report/report_index.htm

ペキンパーまつり/名前のない森

a)『ビリー・ザ・キッド/21才の生涯』(サム・ペキンパー) b)『キラー・エリート』(サム・ペキンパー) c)『バイオレント・サタデー』(サム・ペキンパー) d)『名前のない森』(青山真治)a) 本日は「ペキンパーまつり」なり。冒頭、物語の始点で発射…

勇者に休息なし/ティレジア

a)『勇者に休息なし』(アラン・ギロディー) b)『ティレジア』(ベルトラン・ボネロ)a)冒頭、主人公の一人が「ファフタオ・ラポ」という造語を語る。それは最後から二番目の眠りでその後に死が訪れるのだという。以前、見た時にはこの言葉は単なるマクガフ…

なにか有機的なもの/ポルノグラフ/クロッシング・ガード

a)『なにか有機的なもの』(ベルトラン・ボネロ) b)『ポルノグラフ』(ベルトラン・ボネロ) c)『クロッシング・ガード』(ショーン・ペン)a)「カイエ週間」で。ひさびさに「発見」の喜びを味わった。不穏な雰囲気の音楽に伴われた、ローマヌ・ボーランジ…

シモーヌ/シェフと素顔と、おいしい時間

a)『シモーヌ』(アンドリュー・ニコル) b)『シェフと素顔と、おいしい時間』(ダニエル・トンプソン)a)エンドロールに「シモーヌ」のモデルになった女優の一覧が載っていた。以前、見た時はそれなりに楽しめたものだが、二回目はさすがに退屈だった。まあ…

ぼくんち

a)『ぼくんち』(阪本順治)a)主役の兄弟、特に弟役の少年が素晴らしい。もちろん、他の役者たちも他の阪本順治の映画がそうであるように素晴らしい。私もこの兄弟のように幼かったころ、醤油かけごはんが好きだったものだが、親にそんな貧乏くさいまねはす…

朗かに歩め/ザッツ・エンタテイメント PART3

a)『朗かに歩め』(小津安二郎) b)『ザッツ・エンタテイメント PART3』(バド・フリージェン/マイケル・J・シェルダン)a)パロディアス・ユニティや『はなればなれに』(ジャン=リュック・ゴダール)に通じる楽しさにあふれている。誰かこれをミュージカ…

世界中がアイ・ラヴ・ユー/トラック野郎 爆走一番星

a)『世界中がアイ・ラヴ・ユー』(ウディ・アレン) b)『トラック野郎 爆走一番星』(鈴木則文)a)ラスト近くのアレンとゴールディ・ホーンの夜のセーヌ河岸のミュージカル・シーンが何と言っても素晴らしい。『バンドワゴン』(ヴィンセント・ミネリ)での…

プレッジ/クローサー/マグノリア

a)『プレッジ』(ショーン・ペン) b)『クローサー』(コリー・ユン) c)『マグノリア』(ポール・トーマス・アンダーソン)a)ショーン・ペンは一作目の『インディアン・ランナー』にのれなかったので、それ以来敬遠していたのだが(『セプテンバー11』のア…

Happy New Year !

さて新年を迎えるにあたって、2003年に見た映画(300本あまり、ただしスクリーンで見たものに限る)の中からベスト10を選ぶことにする。とはいえ、最大の衝撃だったのはやはり『斬人斬馬剣』(伊藤大輔)と『裁かるるジャンヌ(完全版)』(カール・ドライヤ…